~はらぺこらてーる~

おなかは空いていないか?

美味しいは世界を救う!

眠れない君へ贈る短編小説:雌

#眠れない君へ贈る短編小説

タイトル:雌
作 :おねこ。

暗闇の中……
彼女はゆっくりと男に忍びより……

プスリと刺した。
彼女は滴る血を貪ると、静かに去った。
刺された男は、横たわり眠るように落ちていった……

雌の本能なのだろうか?
彼女は、美味しそうなエモノを見つけさえすれば、誰でもいいのだ。

彼女は、体を寄せては、濃厚なキスを行っていた。

その女の行為は、まさに「雌」と言うに相応しかった。

彼女だけじゃない…
もう世界の全てのソレは、本能通りに忠実に生きる雌なのだ。

ある一匹の雌は、体を力強く叩かれ、体をぴくぴく痙攣して命を落とした。

またある雌は、毒を全身に浴びせられ命を落としていった。

何も男だけに殺される訳では無い……
ときには女に殺される事もある。
理由は至ってシンプル。

「目の前を通ったから…」

雌を殺す理由は、それで十分なのだ。

生き残った雌は、体に子供を身ごもった。

雌は。
それでも……
それでも……
エモノを見つけては、ゆっくりと近付いては、プスリと刺しては、滴る血を飲んでいた。

まるで、それが主食でもあるかのように刺し続けていた。

中には刺された事に気付かないモノさえ居るくらい彼女達は、刺す事に長けていた。

ベットで横になっていると、彼女が頬に濃厚なキスをして来た。

彼女がキスをするのは、俺にだけじゃない……

もしかしたら、隣りに住むおっさんともしているのかもしれない……

いや、もう誰と済ませているかさえ、想像さえできなくなった……

気付いた時、俺は彼女の頭を体を叩いていた。

ほんの一撃だった。
軽い一撃のつもりだった。
彼女は、倒れこむようにゆらゆらと落ちて行った。

俺の手には、べっとりと彼女の血がついていた。

怖くなって手を、すぐに水道水でその血を洗い流した。
彼女の遺体は、恐らく今頃、焼却炉の中で燃えているだろう……

でも。
僕の前にまた別の雌がやってきた…
また、殺さなきゃ……
また、殺さなきゃ……

殺さなきゃ、殺さなきゃ、殺さなきゃ……

また、蚊を殺さなきゃ……